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置き去りにしたものたち  

その店との出会いはもう何年前になるのか。
道東の片田舎でひっそり創っていた私は、自分の力の行き詰まりを感じていた。
卒業と同時に個展をし、切り絵の道を歩くことを決め、就職活動もせずに、様々な仕事を渡り歩いていた。
想像以上に社会は大変だった。私は結局、社会人になってからというもの、まともな展示も制作もできていなかったのだ。
唯一地元の公募展に向けて創った「WORLD」も受付で切り絵は審査できる人がいないとの理由ではねられ(学生時代は受け付けていたが…)砂を噛むような思いで日々を送ってた。何もかもうまくいかない…
そんな時に彼女が声をかけてくれた。帯広のその店で、グループ展をやるからと私も誘ってくれたのだ…。
集まった10人は、皆デメーテルに携わったアーティスト。彼らはアーティスト然としていて、堂々としていた。
かたや私は、彼女と知り合いと言うだけの、田舎でひっそり作っているただの人のようだった。彼らに比べたら、とてもアーティストなんて呼べる者じゃない。苦学生時代に買った、5000円の一張羅のスーツ。出で立ちも様にならない。
展示の期間、私はずっと消え入りたい気持だった。

だけれど。最終日、そんな私に、オーナーは声をかけてくれたのだった。
私個人の、作品展をうちの店でやりたいって…
どうしよう。嬉しくて、足が震えた。この中で一番醜いアヒルの子は私だと思っていたのに。嘘でも本当に嬉しかった。頑張ってきて、よかったんだよエリコ!それだけで私は嬉しくて、店の裏で泣いた。
ずっと人の目に触れる事がなかった「WORLD」。オーナーが買ってくれた「エピソード」。表に出してあげられた。ほら、どの子達も喜んでるような気がするよ…。

翌年、その店での個展は実現した。パフォーマンスとして切っているところを生でと提案されたが、あの頃の私は今よりもっと稚拙で、人前で切っている所など絶対に見せられなかった。見せたくもなかった。
今の私なら、ライブカッティングをできたかもしれないのに。
あの店でやるために、ライブカッティングを始めたのに。

いつでも私は気付くのが遅すぎる。
大事な物がなくなって、なくなろうとして、その存在がどれだけ自分の中を占めていたのか。
マハもノンマルトもそうだった。

25日にその店は閉店する。
2日前、偶然知った事。知らないままなら、私はもうあの店に行くことが出来なかった…
まだ、間に合うんだ。


23日、急遽帯広入りを決めた。2月の展示以降、誰とも話したくなくて、帯広で人に会うことも頑なに避けていた私。もう同じ過ちを犯したくない。愛していた場所に、あの店にある私の子達に別れを告げるため、私は向かう。
一つおみやげを携えていこう。きっと、また会えるよ。私の子達。
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[ 2006/06/19 01:56 ] アート | TB(0) | CM(0)

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